ゲームを積む。
買ったはいいがプレイせずに、積む。
それはある程度自由に経済力を行使できるオトナならではの行為だ。
僕らがまだ幼かった頃、ゲームソフトを手に入れる機会というのは裕福な家庭でもなければ限られていた。
ソフトの一本一本が貴重であった。
貴重なゲームソフト。手に入れたからには、隅から隅まで遊びつくす。
そんな少年少女も多かったのではないだろうか。
僕もそんなゲーム少年の一人であり、一本のゲームソフトを一度のクリアでは飽き足らず何度も何度も繰り返し遊んだ。
そんな何度も繰り返して遊んだゲームの中には、往々にして『あんまりやりたくない部分』というのが存在していた。
例えば
長ったらしくてだるいダンジョン。
強敵ゆえに入念で面倒な事前準備を求められるボス。
中だるみしてあんまり面白くない場面。
などなど、色々なものがあった。
やる事ないしこのゲームもう一回遊ぼう!
けれどあの場所だけは二度とやりたくないんだよなぁ、いやだなぁ。
そんな事を考えながらたくさんのゲームソフトを繰り返し遊んできた。
今日は繰り返し遊んだゲームのいやだった部分を紹介する。
プレイステーションソフト『アークザラッドⅡ』より
北極・南極
僕の中で毎回毎回本当にいやだったものの代表。
北極・南極はゲーム後半に登場するダンジョンで、北極と南極にある塔を攻略しなければならないのだが、
この際にパーティー編成を2部隊用意しなければいけないというギミックが課せられる。
これはつまり、普段育成しているパーティーとは別に、物語の進行段階にあった敵を打破できるだけの戦力を持ったパーティーがもう一つ必要とされるということ。
アークザラッドⅡはキャラクターが非常に魅力的なゲームなので、様々なキャラクターを育てたくなる側面を持ったゲームだ。
面倒がらずに普段から複数のキャラクターを育成していれば北極・南極で詰まる事は少ない。
しかし、2回、3回とゲームをクリアするうちに僕は、通常攻撃が強力な「トッシュ」「グルガ」あたりのキャラをエースに据えて、脇を補助役で固める少数精鋭プレイをするようになってしまった。
こうなると北極・南極の攻略に必要な、それなりに戦えるキャラを10人選出する。というのが難しい。
このゲームのプレイ4週目あたりから、北極・南極はイヤだなぁ、ほんとイヤだなぁ、ここさえ抜ければクリアは近いのになぁ。
なんて思うようになっていたのだった。
スーパーファミコンソフト『ガンハザード』より
カミーラ戦
ロボットアクションとRPGの要素が絶妙な加減でミックスされた傑作、ガンハザードは人生の中でも特にお気に入りのソフトの一つだ。
ゲームはプレイせずとも「ヒャア!がまんできねえ!0だあ!」というセリフを知っている人もいるのではないだろうか。
さて、僕を困らせた難敵カミーラは序盤~中盤の中間地点あたりの進行度で対峙する事になる中ボスだ。
カミーラとの戦いは、彼女が駆る戦闘ヘリに似たガンシップとの壮絶な対空戦となる。
アクションゲームにはよくある、一定時間だけ弱点部を露出するが、その時以外にダメージを与えられないというギミックを備えている敵だ。
おまけに画面を縦横に駆け回る体当たり攻撃は見切りづらく、非常に強力。
ガンシップの体当たりをうまく避けながら、弱点が露出する一瞬を狙って何度も攻撃を撃ち込まなければ倒せない。
インターネットで検索をかけると、このカミーラを序盤の難敵と評価する声も多いようだ。
やはり、この戦いがしんどかったのは僕だけではなかった!
このカミーラ、強敵ではあるものの戦闘後の主人公とのやり取りが戦争を題材としたこのゲームの深い部分を描いており、僕は結構好きなキャラクターでもある。
スーパーファミコンソフト『真・女神転生if...』より
怠惰界
アホを10個つけても足りないダンジョンである。
ニンテンドースイッチオンラインにて配信されたのでまたクリアまで遊んだのだが、怠惰界に差し掛かって「アホが」と声が出てしまった。
怠惰界を一言で表すと苦行である。
ここをクリアするためにはイベントを進行させる必要があるのだが、その進行が歩数カウントによるものなのだ。
プレイヤーは怠惰界をクリアするためにひたすらダンジョンを無心で歩き続けるという退屈極まりない苦行をさせられる。
実際に最近プレイし直した際に時間を計ったら終わるまで20分くらいかかった。
インドの修行僧も「まあ苦行」と言うに違いない。
ちなみに何度もクリアして勝手を知っている上で20分かかる。
初プレイなどで知識が全くない場合、余計なエンカウントなどに曝されて2~3時間かかってしまう事も珍しくないだろう。
アホアホアホアホアホ・アホアホアホアホアホダンジョン怠惰界。
真・女神転生if…は本当に大好きで面白いゲームなのだがここだけ本当にアホ。
僕にとって主にこの3つが、繰り返し遊ぶほど楽しいゲームの二度とやりたくないシーン、である。
実は他にもこの話題は枚挙に暇がないほど語れる。
『ファイナルファンタジータクティクス』のベリアス。
直前のウィーグラフ戦も含めて突破できるまで主人公を鍛えるのが毎度面倒だ。
『ラグランジュポイント』のオレギ。
全体攻撃を連発してくる癖に単体回復しか用意できないのが毎回イヤになる。
『ルドラの秘宝』の大岩バドラ。
戦力が整わないうちに戦わされる上に、序盤のボスなのでいつもいつもイヤな部分が最初の方にあるゲームという印象だ。
『魔神転生Ⅱ』のチャプター4最終ステージ手前に6体配置されているRANK99の邪鬼ベイコクと邪龍ワイアーム。
RANK(レベル)がカンストした敵を中盤に6体も出すな、毎回ここの切り抜け方に悩まされる。
『高機動幻想ガンパレード・マーチ』の降下作戦。
単騎で敵を全滅させなければならない高難易度イベントで、周回プレイの度にまぁーたこれやるのか。と頭を抱えていた。
クリスマス、誕生日、お年玉。
数少ない機会に手に入れた希少なゲームソフト。
面白いと感じたものも、いまいちだと思ったものも、例外なく何度も繰り返し遊んでクリアを重ねたゲームたち。
そんなゲームたちに潜む、ほのかにビターが効いた数々の強敵、クソダンジョン、難ステージ。
あっ、ついクソダンジョンって言っちゃった、お行儀が悪い!
でも怠惰界はクソダンジョン。
繰り返し遊んだ思い出の中に眠る、苦くて苦い、ちょっと苦くてほろ苦くてなんか苦くて苦い場面たち。
けれどもそれもまた、ゲームソフトを彩ってくれるかけがえのないものであると思うのだ。