へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

ゲームと友達こぼれ話 聖剣伝説3 Fくん

ゲームと友達シリーズとして、ゲームを通じた絆が確かにそこにあった少年時代の思い出を綴っておりますが、良い思い出ばかりというわけではありませんでした。

こぼれ話なので短めですが、明日リメイク版が発売する聖剣伝説3(以下聖剣3)には少し苦い思い出があります。

小学生の時にクリスマスプレゼントとして買って貰った聖剣3は当時の思い出のソフトの中でも格別に夢中になった作品の一本です。
全てのキャラクターの全ての魔法・技のエフェクトが見たい…!という理由で、全キャラの全クラス3を解禁させ、魔法・技を全部覚えるまでレベルを上げるという作業を繰り返しました。ホークアイの光闇クラス ローグが技が多いくせにレベルアップで1個ずつしか技を覚えないので本当にレベル上げがしんどかったのを思い出せます。単純に計算して20週以上クラス3になるところまで繰り返しプレイしている作品なのですが、完全に作業としてこなしていたせいか、序盤中盤でうろ覚えな展開のところもあるので本当にリメイク発売が楽しみです。

話がだいぶそれました。

苦い思い出というのは、当時このソフトを友達に盗まれてしまった事があるのです。
盗んだのはFくんという友達でした。
特別に仲が良かったわけではなく、友達というよりはどちらかというとただの同級生といった間柄の子でした。

ある日、何かのついでで彼を家に招待し、ちょうど僕がハマっていた聖剣3を二人プレイで遊びました。Fくんは初めて遊ぶこのソフトに夢中になり、食い入るように画面に向かっていたのを覚えています。
聖剣3の後にも別のスーファミソフトで暫く遊びましたが、塾があるというのでFくんは夕方前には帰りました。
間もなく違和感に気が付きます。

先程まで遊んでいた聖剣3が無い事に。
そこまで散らかっていた部屋でも無く、見つからないというのは不自然すぎる事態。
パニックになり、ありのままの状況を親に説明する自分。
結局、Fくんに何か心当たりが無いかどうか電話をして確かめる事になりました。

「ゴメン、塾のバックの中に偶然ソフトが入ってたよ」

電話越しのFくんの声に落ち着きが無かったのは明らかでした。
「俺はこういうソフト買ってもらえないから」と遊びながら言っていたFくんが、抗いがたい誘惑に負け僕のソフトを塾のバックに忍ばせたのは明白でした。

ソフトを見知った人、それも一緒に遊んだ友達に盗まれるという事など人生で初めてで、感情の落とし所が分かりません。
さらには親からも「もうFくんには近寄らないようにしなさい」と強めに注意を受けた事もあり、その日はボロボロ泣いたのを覚えています。

もちろん、ソフトを盗んだFくんが一番悪いのだと思います。
しかし親から遊びたいゲームソフトを買って貰えないという気持ちもまた、ゲーム少年であった自分にはその辛さが痛いほどに理解できます。
無邪気さ故に新作のゲームを見せびらかすように振る舞った自分も、この悲しい出来事を導いてしまった原因の一旦を担っていたのだと、今になって強く思います。


もう僕らは大人。
好きなゲームを好きなだけ買えますし、倫理観の観点からも知人同士でこのような事件が起きる事は無いと言っても良いでしょう。
子供だからこそ経験できた、人間関係について深く考えさせられた出来事でした。
聖剣3と聞くと今でも胸にこの思い出が去来します。