へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

雑文538 ふと、ゲームにおける『タンク』について考えてみるなど。

詳細な歴史考証のエビデンスがある記事ではない。

攻撃力は絶無に近いが、豊富な防御スキルでパーティを守る。
そんな『タンク』の存在は近年のゲームでは珍しくはないが、僕が子供の頃に遊んでいたRPGに彼らの姿を見たことは無かった気がする。

それは昔のRPGに『スキル』の概念が標準的では無かったというのもあるのではないだろうか。
様々な効果をもたらす『スキル』といえば昔は『呪文(魔法)』がその位置を担っており、能動的に味方への攻撃を防ぐ技、という役割は『防御呪文』により実現していた。防御力の高い前衛が味方を保護する『スキル』を所持している、というRPGを遊んだ経験は少なくとも幼少期にはない。

当時タンクに近い特性を持った前衛キャラクターというのは、耐性を持つ防具を豊富に装備出来て高い守備力を誇るが、基本的にはたたかうコマンドに終始する、といったキャラクターが多かったように思う。隊列の最前線のキャラクターは狙われやすいといったシステムが組み込まれているRPGでは、彼らが実質的にタンクの役割を担っていた。

とはいえ能動的に防御面の介入が出来るキャラや仕組みが全く無かったわけでもない。

たとえばファイナルファンタジー4のセシルは瀕死の味方を(自動的に、ではあるが)『かばう』事が出来たし、同シリーズ5のジョブであるナイトにも同様の特性があり、更にナイトは『まもり』というコマンドで物理攻撃のダメージを0にする事が出来た。

恐らくは、僕が幼少期に遊んだRPGたちは良くも悪くもそこまで複雑なゲーム性をしてはいなかったのだ。戦士はたたかうコマンドが本分であったし、補助は魔法使いや僧侶系のキャラクターの仕事だったのだ。

MMORPGが台頭してきた頃からだろうか、モンスターの凶悪な攻撃から仲間を守るという『ネットゲーム上の協力プレイ』の一環としてか、防御面が性能の中心としてデザインされたキャラクター……即ち『タンク』を見かけるようになった。

そして最近のゲームでは『防御専門』を仕事とするタンクキャラクター達はあちこちで見かけることが出来る。

時代が進むにつれて、RPGのキャラクターが多様化してきたという事でもあるだろうし、同時に防御専門のキャラクターを編成しなければ耐えられないほど苛烈な攻撃を仕掛けてくる敵キャラクターと戦わなければならない、高難易度をウリとしたRPGが出てくるなど、ゲームそのものがバラエティ豊かになってきたと捉えてもいいかもしれない。

いずれにせよ今日のゲームではタンクという職分は地位を不動のものとし、あらゆる世界で仲間たちの矢面に立ち続けている。
彼らはいつからパーティの最前線に立つようになったのだろうか。
(ゲームの歴史を詳細に紐解けば、答えは見つかるのかも知れないが)
その頼りになる背を見つめながら、本日はタフな彼らについて思いを馳せてみた次第である。