『モスラ』をご存知だろうか?
あのゴジラを生み出した東宝が世に送り出した有名怪獣の一体で、超巨大な蛾がモチーフの生物だ。蛾という設定は生々しいものの、どこか愛嬌があるフォルムで、怪獣ではあるものの映画では善玉的な扱いであった。
このモスラを呼び出すための『モスラの歌』という劇中歌があり、これが当時中々ヒットしたという。インドネシア語の歌詞で、正直何を言っているか分からないのだがゆったりとした力強い曲調で、一度耳にしたら忘れられない歌である。
小学校低学年の頃、東京の住まいから所沢の祖父の家まで父の車に乗せられて遊びに行くことが度々あった。
車で片道およそ40分ほどの道のりで、軽いドライブみたいで非常に楽しかったのを覚えている。
特に帰り道になる日の暮れた夜、道路沿いに灯るアパートや大きなマンションのライトの生活感がたまらなく好きだった。
ある時、所沢の祖父の家で映画『モスラ』が放送していた。1961年の映画なので、再放送のそのまた再放送の再放送の……といった感じだろう。
そこで少年時代の僕はモスラの歌を初めて聴くのである。
そのモスラの歌の出だしの歌詞の
「ドゥンガン カサクヤン インドゥムゥ」
の部分を当時の僕は
「とんでん が原や ミノム」
だと思いこんでいた
所沢からの帰り道にある『和食処とんでん』
このとんでんのことを歌っているのだと思いこんでいた。
さらにミノムの部分はミノムシの略であると勘違いもしていた。
つまり、モスラの歌は和食処とんでんとミノムシについて歌い上げた歌なのだと、小学校低学年の頃の僕はずっと思っていたのである。
「ドゥンガン カサクヤン インドゥムゥ」の部分は本来インドネシア語で「あなたの母なる神秘の力で」みたいな意味であるらしい。
そういえば、和食処とんでんってあったな。と思い出したので、今日は幼少期の勘違いの話をしてみた。
余談なのだが、モスラは蛾がモチーフであるが、僕は蛾をモチーフとしたモンスターや怪物がかなり好きである。
これは小さい頃にスーパーファミコンソフト『魍魎戦記MADARA2』で見た美翔蛾羽(ビショウガウ)という蛾のモンスターが何故かかなり気に入っていた事に由来するのである。ドラゴンクエストモンスターズシリーズに登場する「デスファレーナ」も大切に育てていた。世間では蝶の方が人気があり、蛾はどちらかというと日陰者のイメージがあるが僕の中では蝶と同等にかっこよく美しいものなのであった。