へたれゲーム貴族

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ソウルハッカーズ2 クリア感想


RPGとしては遊びごたえアリ。
ソウルハッカーズの名を冠する作品としては……?


RPGとして

・良かったところ
芯が太く遊びごたえがある。
サブクエストやソウル・マトリクスでのイベントが豊富で、それらの報酬が戦力に寄与することもあって『堅実に強くなっていく』感覚を楽しめる。
基本的に新しいエリアの敵からは経験値も多く手に入り、レベリングも軽快なところが良い。
シナリオにもきらりと光る見どころがある、詳しくは後述。

・良くなかったところ
短めのストーリーと少なめのダンジョン。
また今回の戦闘における最大の要素『サバト』はアトラスの過去作(ストレンジジャーニー)にあったデビルCO-OPの焼き直しのようなシステムであり、全体的にRPGとして目新しさに欠けるところが惜しい。
悪魔合体要素があるにも関わらず、TALKが存在せず仲魔の加入にはひたすらダンジョンを歩いて勧誘イベントを探すしか無いのは苦痛。
どうしてこのようなシステムにしたのか正直分からなかった。

デビルサマナーソウルハッカーズとして

感想のメインとなる部分。
率直な印象を述べると、何故本作にソウルハッカーズの名を冠したか、説得力が感じられなかった。

デビルサマナーソウルハッカーズという作品の続編を作り上げることは至極困難であると思っている。
インターネットが大々的な普及を見せ始める時代の中で、インターネット社会と人間の付き合い方について鋭い先見性を備え社会的観点からも抉ったシナリオは、更にハッキングという行為によるハードボイルドな華が備わり奇跡のような出来栄えだったといっても過言ではない。
デジタルデビル物語女神転生Ⅱから徐々に花開いたアトラスのサイバーパンクの描き方は、デビルサマナー ソウルハッカーズにて究極的な完成度を見せたといって過言ではないはずだ。

残念ながら、ソウルハッカーズ2にはそういった『ソウルハッカーズ』ぽさが欠けていると僕は思ったのだ。
原作ソウルハッカーズから25年が経った現在、当時作中で描かれた天海市のインターネット社会に僕たちの世界は限りなく酷似している。
インターネットがもたらす公益と人間同士のネットを通じた繋がりについてこの25年、語られなかった日はないだろうし、今から数年後のネット社会について、続編なのだから前作さながら犀利に語ってみせろというのはハッキリいって酷だとは思う。

もちろんソウルハッカーズという作品はインターネットを通じた社会学だけが物語性の中心にある作品ではないのだが、それでもやはり続編の名を冠する以上、インターネット社会とそしてハッキングという行為に対して何らかの一石を物語上で投じて欲しかったし、欲を言えば中心的に語って欲しかった。
僕がこの作品がソウルハッカーズという名前を冠するには少し残念な出来栄えだなと思うのはただそれだけのことだ。

また、物語の見せ方自体について少し残念に思ったところも少なくない。
進化したAIであるAionが世界の危機を予言し、リンゴとフィグを人間世界に送り出して世界滅亡のシナリオを回避させる、というのがストーリーの大筋だ。
しかしながら基本的には世界滅亡のトリガーを一つ一つ潰していくという内容がスタイリッシュな画面構成とは裏腹にあまりにも地味すぎなのだ。
中盤までは殆どが人探しで、登場人物も少ないため世界が破滅する危機感が伝わってこない。
僕には彼らが身内でごちゃごちゃ何かやっている、程度の感想しか抱くことしかできなかった。
後半の展開は個人的にはかなり好みなのだが、序中盤のスケール感には正直少し残念だ。

もしかしたら僕の目は曇っているかもしれない。
原作が伝えたかったメッセージ性の何かがソウルハッカーズ2にも色濃く継承されていて、それを見逃してしまっている可能性もあると思う。
ただ一つの理由でソウルハッカーズ2の物語を残念だと断じている自分の目に見えていない部分もきっと沢山あると思うが、僕がソウルハッカーズ2に感じた率直な部分は語った通りである。

もちろん、他に良いなと思ったところ、もっとこうすれば良かったかもと思うところもある。
ファントムソサエティのサマナー達については好印象だ。
R.Sが登場した時には「キャロルJのようなトンチンカンなサマナーが出てきたぞ!」と楽しくなった。
ただR.Sを除くと全体的にサマナーたちが小綺麗でスタイルが良すぎるので、もっとイロモノが出てきても良かったかもなあなんて思ったりも。
それでも全体的にキャラクターには魅力を感じたし、ビジョンクエストのような形式で登場人物を深掘りしていく手法は原作さながらだなと感心した。


またシナリオの見せ方自体については先ほど苦言を呈したのだが、登場人物の感情の機微の描き方と、人生についてアレコレと葛藤する大人たちのドラマとしては素晴らしかったと感じている。

ショップや施設の店主もかなり『デビルサマナー』シリーズぽさを覚えたし、街のNPCが多かったのは地味ながらとても嬉しいところだった。
真・女神転生Ⅴでは早々に世界が荒廃してしまいNPCが殆どおらず寂しい思いをしていただけに、その世界に生きる『本当になんでもない街中のNPC』が沢山いて、会話からゲームの中に生きるキャラクター達の息吹を感じられるというのは僕の中では非常にポイントが高いところだったりする。

総評

ソウルハッカーズ2については個人的には偉大なる前作の名前を戴くことの至難さを認識したと同時に、惜しい部分もありながらRPGとしてしっかりと楽しめる作品という複雑な評価の一本となった。

様々な感情は去来するものの、遊ぶことが出来て、出会うことが出来て良かった一本だとは思っている。