オンラインの世界では顔が見えない、笑い声が届かない。
それに対して人と面して話し合うことのなんと温かみを感じることか……。
という読者投稿を新聞で見かけた。
握手が出来る距離でのコミュニケーションが素晴らしいことに違いはない。
だがオンラインの世界が無機質だという意見に対しては、僕は異論を唱える。
オンラインの世界には遠くの人と多くの人が笑い合える繋がりが間違いなく存在している。
顔も温度も感じない無機質な世界なんてことはない。
ボイスチャットで声が届き、ライブカメラで顔が見える。
そして何よりオンラインの繋がりから現実で出会いを果たすケースなんて今や珍しくもない、オンラインはオフラインへの架け橋にもなる。
オンラインは血の通わない世界だと声をあげる人々は、とにかくそういった技術に触れていないのではないか。
なんとなくオンラインの世界が素っ気なく機械的なモノだと思い込んでいやしないか。
オンラインだろうが声は届くし、笑顔は見れる。
時間や距離といった物理的な障壁を取り除いてより多くのコミュニケーションを繋いだオンラインの世界に、温かい触れ合いは無数に存在する。
彼らが言う「無機質なオンライン世界」という指摘そのものが、現代社会のオンラインコミュニケーションをキャッチアップ出来ていない。
もし無機質で冷たいコミュニケーションが存在するとすれば、それは当事者のコミュニケーション自体の在り方の問題である。
遠く離れたデジタルの繋がりも、顔を突き合わせる生身の繋がりも、それそのものはコミュニケーションの方式の一つに過ぎないからだ。