へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

巡る思い

早朝に母方の祖父が亡くなった。
階段から滑り怪我をしたのが死因で、94歳だった。

細身で朗らかな見た目に似合わず、剛毅果断でパワフルという言葉が似合う人だった。
もし階段の事故が無ければ何歳まで生きただろう?

力強く、茶目っ気もあり、何より優しくて寛大だった。
7年前の祖母の葬儀以来一度も会っていないのが心残りだ。

じいちゃんよ、こんな俺にもいつも優しくしてくれてありがとう。
楽しくて心が落ち着く思い出をたくさんもらえた。

一番の思い出は、弟が産まれる時に暫く家に預かってもらったこと。
何もないのはヒマだからと無理をいってテレビにスーパーファミコンを繋げてもらって、親父に買ってもらったゼルダの伝説(神トラ)を遊んでいた。
夜には自分の家に帰してもらったけど、そこでいつも勧めてもらったオロナミンCと溶かすタイプの甘い檸檬の紅茶の味はずっと覚えている。

高校の入学式の日に、車で送ってもらったことも覚えている。
めちゃくちゃにスピードを出すハチャメチャな人で、じいちゃんの車に乗るのは一種のアトラクションだと我が家でも語り草だった。
案の定、道中で標識かなんかに車を擦ったのだけれど、まるで気にせぬ素振りで「なんて、型破りな人なんだ……」と思ったっけ。

辛気臭いさよならは言わない。
俺もじいちゃんのように90過ぎたって元気でパワフルに生きる。
そう誓う。



後書き
3月9日、早くも春の陽気が暖かい本日。
斎場で祖父と対面してきました。
棺を見送り、残された骨は、頑健な祖父らしく太いのが幾つも残っていて。
泣いたりはしないと思って臨んだのですが、母から、いつも電話すると電話口に「たっくんは元気かい?」と僕の事を気にかけてくれていたという話を聞くと、涙が止まりませんでした。
少しだけ泣いて、後は前向きに。
じいちゃん、たくさんの思い出をどうもありがとう。