へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

ゲームセンターの思いデ話

今でもライフワークになっているゲーセン通いだが、ちょっと昔の話をしてみるか。


俺がゲーセンに通うようになったキッカケは、小学生の頃、親が普通のゲーム雑誌と間違えてゲーメストを買ってきたことだ(ちなみに俺がショタコンなキッカケもそのせいだ。メストのライターにショタコンマニアがいてだな…)

で、当時ゲーセンなんてものを全く知らなかった俺。
キングオブファイターズの八神庵ってキャラが超カッコイイとビビっと感じて
ゲーセンに興味をもった。

小学6年の頃、近所のツタヤにゲームコーナーが出来て、そこにいって遊んだのがゲーセン通いのはじまり。

中学生になると、悪友も増えてきて、あるゲーセンの情報を知る。

小遣いの少ない中学生には貴重な50円ゲーセン
西武新宿線・東伏見駅近くのパチンコ店の2Fにあった、ゲーセンだ。


中学2年生くらいの頃だったか、新作としてガンダムの対戦アクションが入荷した。

ガンダムはあまり知らなかったが、ゲーム自体は面白く毎日遊びに行った。


ある日、いつもの通り、俺はそのゲームの順番を待ち、コインを入れようとしたところ、知らない20代前半くらいのお兄さんに呼び止められた
どうやら、お兄さんの順番を知らない間に抜かしてしまっていたらしい。
「あー、でも遊びたいなら、先に遊んでもいいよ」
と言ってくれたので、頭を下げつつ先に1プレイさせてもらった。

ゲームが終わったところで、そのお兄さんに声をかけられた。
「良かったら一緒にガンダム遊ばない?お金は出してあげるから」
なんかうさんくさかったけど1プレイ奢ってくれるのはラッキー、と思って
そのゲームを協力プレイで遊んだ。
お兄さんはあんまり上手じゃなかった。

それから、そのお兄さんはちょくちょく来るようになって、俺と良くそのゲームの話をするようになった。
あんまり上手じゃなかったのは、どうやら普段ゲームというものを全くやらないらしく、操作とかも苦手だそうだ。
結局、何でこのゲームだけはやるのか、そもそも何故ゲーセンに来ているのかは教えてくれたような気がするけど、今では覚えていない。

そのお兄さんは、ちょくちょくとそのゲームのプレイ代金を奢ってくれた。
どうやら一緒に遊ぶ仲間が欲しかったらしい。
お兄さんは、プレイは下手だったけど、なぜかゲームの中で一番弱い「旧型ザク」を使っていた。

旧型ザクの動きが可愛らしい、という理由で使っていたようだ。

それからも、殆ど毎日そのゲームを遊んだ。

一ヶ月もすると、そのお兄さんはみるみるうちに強くなっていき、魔神のような旧型ザク使いとなって、ゲーセンでもちょっと有名なくらい強くなった。

旧型ザクを使って、対戦相手のガンダムを一方的に葬るほどの強さだ。

協力プレイで知らない相手と対戦するときは、俺が砲撃機体のガンキャノンを選び、お兄さんはいつも通り旧型ザクに乗る。

お兄さんの旧型ザクが、敵陣に突撃し、敵をかき乱しているところで、俺のガンキャノンが砲撃して倒すという戦法だ。

お兄さんと俺のコンビはめちゃくちゃ強く、一度台に座ると10連勝とかザラだった。
連勝のおかげで、そのゲームを通じてさらに知らない年上の仲間も増えた。
ゲーセンに行くと「ガンキャノン使いのタクちゃん」って呼ばれて皆から可愛がられてちょっと恥ずかしかったけど楽しかったな。


他にも、ビートマニアをプレイしている時に、良くお兄さんが後ろから見ていた。
俺が一番好きな、ヴィヴァルディのアレンジの曲があるんだが、いつも最後の連打部分でミスをしてクリア出来なかった。
そもそも、当時の俺の腕前ではその曲のクリアなんて不可能だったが、ただその曲を聴きたいからプレイしていた。

お兄さんも最初は、俺がビートマニアを終わるのを待って、一緒にガンダムをやりたかっただけらしかったが、楽しそうに遊ぶ俺を見て興味を持ったらしくて
ビートマニアをやってると後ろからいつも見守っていてくれた。

1年くらい、飽きもせず、ずっとヴィヴァルディに挑む俺、とうとうその曲をクリアするのに成功!そりゃ100回くらいやってれば出来るようになるわなw
それでもめちゃくちゃ嬉しかった俺は思わずガッツポーズしたんだが、すると後ろから
「すごいよタクちゃん!やっとクリアできたんだね!!」
と、お兄さんがまるで自分のことのように喜んでくれて、俺は凄く嬉しかった。


お兄さん達との付き合いは高校生になる頃にも続いていた

ある日から、お兄さんが忙しくなって、中々ゲーセンに来れなくなってきた。
最初は学校の先生を目指していたらしいんだが、普通のサラリーマンになったらしい。
ガンダムのゲームも、続編が出てZガンダムのゲームになったが、お兄さんと一緒にプレイする機会はなかなか訪れなくなってきた。

俺は中学の頃の仲間達と殆ど毎日そのゲーセンに行ってたけど、お兄さんが中々来なくなって寂しくもあった。

高校3年生になり、お兄さんに久しぶりにあったとき、専門学校へと通うことになった旨を告げると頑張ってね、と応援してくれたっけか。

そんな折、そのゲーセンが改装工事の為、休業になってしまった。

ガンダムのゲームは、そのゲーセンからほんのちょっと歩いたところにあるもう一件のゲーセンにも置いてあったから、俺は毎日お兄さんを待ってそのゲーセンに通っていたが、高校3年生の最後の頃には、そのゲーセンにも殆ど通わなくなってしまった。

そして、専門学校に進学した俺は、当時の様々な思い出を思い出し、休業になってた、お兄さんとの出会いのゲーセンが営業を再開していないかどうか、胸を踊らせながら東伏見駅へと降り立った。


俺が目にしたのは、完全に閉店となったそのゲーセン。
そして、近くのゲーセンもすべて閉店してしまっていた。


胸にポッカリ穴をあけられたような気分だった

何年も一緒に遊んできたお兄さんだけど、住んでるところも、名前すらも知らなかった。

学生時代から数年間、毎日のように通い続けた第二の家のような、あのゲーセン。
それが潰れてしまったことも大きなショックだが、気になるのはやっぱり旧型ザク乗りのお兄さんのことだ。

お兄さんには、いくらゲームを奢って貰ったか分からない
遊ばせて貰って悪いから、と断ろうとしたこともあったけど
「出世払いでいいよ!冗談だけどね!それより一緒に遊びたいから、早くやろうよ!」
って、椅子に座ると、俺がガンキャノンを選ぶことを知ってるから、お兄さんも旧型ザクを選ぶんだ。
一緒に一年戦争を戦ってきた、歳の離れた戦友。


今は、どこで何をしていますか。
あのガンダムのゲームも、最近新しいのが出たよね。
お兄さんが旧型ザクの代わりに気分転換で良く使ってた、アッガイがいるんだよ
俺が良く使ってたガンキャノンもいるよ。
どっちも弱いキャラだけど、また二人で組んだらきっと連勝できるよ。
お兄さん達、いまどこにいるんだろ、会いたいな…。


…昨日もゲーセンに行ってきた俺だけど、そんなことをふと思い出した。

お兄さん、最初に出会った頃は中学生だった俺だけど、ちゃんと社会人になれたよ。
今度は、俺の奢りだよ、どこかで逢えたら、また一緒にガンダムをやろうよ…。