へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

雑多文章録261 友人録その1 生徒会長補佐S水

唐突!ですが!

今はもう連絡が取れないけれど、昔は一緒に友情を育み、僕の成長に一役買っていただいた思い出の友人を語ろう、語っていこうというコーナーです。

最初の方は小学校高学年から中学校卒業まで、一番の親友とも言えた「生徒会長補佐のS水君」に登場していただきましょう。

彼との親交の始まりはそれは奇天烈なものでした。
小学校4年生のクラス替え、見慣れない男がいるなと思った僕はおもむろに彼、S水君へと何を思ったのか突如話しかけました。

その手に良く分からない落書きを持った僕は、落書きを彼に見せつつ「よう、これ突然だけどお前の絵な」と無駄にキ×ガイな事を言い始めたのです。

それも初対面です。

その後の彼の反応は、今でも鮮明に思い出せます。
「なんだよ、それ~」彼の苦笑い。
そしてここから友達付き合いがはじまったのです。


彼の家は代々武家の流れを汲む家でして、結構彼自身、小学生の癖にやたらと精神力とかが研ぎ澄まされている無駄にクレバーな小学生でした。
学力とかもトップクラスで、クラスで常に1~3位。
当時レアな、ブラックユーモアを理解出来る唯一人の友人でもありました。

彼との会話では、エッチという単語を使わず、卑猥という単語を好んで使うような間柄でした。
お互い無駄に語彙の豊富な小学生です。

ろくでもない会話でしたが、僕らはお互いのブラックユーモアと語彙力を研鑽し合うような言葉遊びの世界に没頭していました。
僕はバカでしたが、彼はまごうことなき天才でした。
しかし堅物なところは全くなく、人付き合いにも明るいまさに漢の中の漢でした。

そんな彼との親交は、高校受験のシーズンに入ると薄れていきます。

彼は、偏差値の異常に高いある高校に合格する為に、学校を時々休んでまで勉学に励むようになりました。

彼の家に気軽に遊びに行く事もあまりなくなり、また、生徒会長補佐という重役で多忙な学校生活を送っていた彼でしたので、お昼休みに気軽に声をかけようとしても空しく空席を目の当たりにすることもしばしばでした。

僕が彼と交わした最後の会話は鮮明に思い出せます。


もう受験のシーズンも間近、彼との親交も殆どなくなってしまったある日。
彼がふいに、僕に声をかけてきました。

S水「なぁ、くーちゃん。英雄の条件ってなんだとおもうよ?」

軽口で哲学めいた言葉遊びを常にすることが僕と彼にとって”遊び”でした。
彼は忙しい中、あまり遊ばなくなってしまった僕に、小学生からのその僕たちの間だけのやり取りを今、久しぶりに再現しようと声をかけてくれたのです。

英雄の条件とは…うーん、どう答えるべきか。
小学生時代のようにブラックユーモア溢れるグロテスクな回答をするべきか?
それとももしやガチな答えを望んでいるのか?

僕はとりあえず後者を選び、くそまじめに「うーん、難しいなぁ、強いて言えば人徳…とかじゃなかろーかね?」と答えました。

彼は親指を立て、笑顔で答えました
「おいおい、英雄の条件は虐殺だよっ!」


まさに小学生時代のやり取りを再現してくれたのです。
普段疎遠がちだった彼でしたが、彼なりに気をつかってくれたのでしょう。

「あ、あぁ…そうだな!歴史上の英雄にはついてまわる宿命だよな!」

彼と交わした最後のブラック・ジョークめいた雑談。

彼と会話している時はいつも不思議な気分にさせてくれた。
彼がいなかったら僕はきっとつまらない小学生時代を過ごしていただろう。

本当にありがとう、S水よ。
引越しもしてしまった君の行方はわからない。
実家の長野に帰ってしまったとの噂も聞く。

だが、いつかまた出会えたならば、お互いの長い空白期間で得たブラック・ジョークを互いに披露し合おうではないか。

S水よ、お前に出会えた事に感謝を。