へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

雑多文章録90 憧れた人

人間誰しも誰々に憧れている、誰々が目標、という人物がいるだろう。
いなくても、漠然と誰々のようになりたい、と思った事くらいあるはず。

僕も、その場面場面では活躍してる人をみて「こんな風になりてー」と
思った事はありますが、人生通して「こんな風になりてー」と思い続けた目標の人は
たったの一人だけです。

その人は、名前も知らない通りすがりの男性です。


僕が小3~4年の頃、はじめて自転車を買ってもらい乗り回していました。
ある日学校から家までの下り坂を走っていると、突然チェーンが外れてしまい、直そうにも直せず、家まで持って帰ろうとも遠いし、自力でチェーンをいじってみるも、顔と手が油まみれになっただけで困り果てて立ち尽くしていたときの事でした。

スポーツカーが近寄ってきて、中からサングラスをかけたお兄さんが現れました。
今思えばマトリックスのネオみたいな人だったと記憶しています。

そのお兄さんは、何事かと尋ねてきたので自転車を指差すと、僕と同じように手と顔を油まみれにしながらチェーンを直してくれました。
通りすがった場所で見かけた何でもない子供に、着飾った格好を汚してまで親切にしてくださったお兄さん。
僕は生まれてきてはじめて「かっこいい人間に出会った」とその時思ったのを覚えています。

僕はこのお兄さんの事を、10数年たった今でもふと思い出すのです。
今はどこで何をしているのでしょうか。
僕もこんな人みたいになりたい