ピクミンブルームの話を度々していることから察していただけると思うが、僕はウォーキングが好きだ。
ただ、どれだけ慣れていても、たまに突然くる。「あ、もう歩けない」という瞬間が。
血糖値の関係なのか、体が急にエネルギー切れを起こす。電池が切れるみたいに、脚が動かなくなるのだ。
そういう時に不思議なもので、小袋のお菓子でも、ちょっと何かを口に入れると、また歩けるようになる。栄養学的な説明はできないけれど、たぶん脳が「燃料が来た」と勘違いして、再起動してくれるのだと思う。
この前も、花小金井を歩いていた時にもう歩けんモードに突入した。
そこらで外食してもよかったのだが、出来れば家に帰って、冷蔵庫の余り物で自炊したい気分だった。
なんとかあと30分だけ持たせたい――そんな時、駅前で見つけたのがおかしのまちおかだった。今の僕には、砂漠で見つけたオアシスのように思えた。
自動ドアを抜けて、店内のお菓子を吟味する。
僕の目に止まったのは、あの『東豊製菓 ポテトフライ・フライドチキン味』だった。
ポテトフライ。1袋30円でおなじみのあいつは、少し値上がりしてはいたが、駄菓子コーナーの定番の顔だ。
ただ、なぜだか僕はこのお菓子を子供の頃に食べた記憶がない。
駄菓子屋ゲーセンでメタルスラッグ2あたりを遊んでいた世代ではあるのに、実際にこのポテトフライを食べたことはなかった。
どうしてあの頃は出会わなかったのだろう。
気がついたらポテトフライといくつかのお菓子を手に、レジへ向かっていた。
袋を破り、一枚かじる。
塩気と油が舌にのって、胃に落ちた瞬間に、身体が「うまい」と言った。
理屈じゃない。
体にいいはずもない油の塊だろうが、今の僕にはこれだった。
たった数十円の駄菓子が、まるで薬のように効いてくる。

気づけば、再び足が動き出していた。
花小金井の街灯が並ぶ道を、サクサクという噛み心地と一緒に歩く。
ピクミンもスマホの中でせっせと花を植えている。
なんだかんだで、僕も元気を取り戻していた。
駄菓子とは、子供の頃はお楽しみであり、大人になればお酒のおつまみ。
でも、今の僕にとってはそのどちらでもなかった。
これは、"もう一歩"分だけ歩く力をくれるものだ。
大人にはいくつもの出会いがある。
新しいキャリア、異性との付き合い、新作の映画、話題の本。
そんな大人の、今、あえて新しい駄菓子に出会ってみる。
そんなことも悪くないんじゃないか。