最近X(旧Twitter)をご覧頂いている読者の方は「たくま、お前最近、自炊戦士になってるな」と感じてくださってると思っている。僕が自炊戦士と化したのは去年の9月からで、それまでは半額弁当戦士として20年近く半額ベン・トー目当てにスーパーマーケットに通っていた。そう、弁当戦士としてはそれなりに修羅場をくぐっているつもりだ。
今日はスーパーマーケット「いなげや」の新作弁当について分析してみる。

スーパーマーケット「いなげや」の新商品「チンゲン菜ドーン」をご存じだろうか。僕の自宅近くのいなげやでこの商品を目にしたところ、驚くべきことに、半額シールが貼られているにもかかわらず、棚に大量に残っていた。通常、いなげやで半額弁当は荒野をうろつくハイエナのように鋭い目をした主婦や中年男性たちによりたちまち売り切れるのが通例である。それだけにこの現象は極めて異例である。
実際には塩ダレの効いたなかなか味わい深い丼物であったのだが、連日こうやって売れ残っているのは紛れもない事実だ。本レビューでは味や食感といった話ではなくこの「チンゲン菜ドーン」が売れ残ってしまう理由について深掘りしていく。
◆1.ネーミングの問題点
売れ残りの主要因の一つは、商品名のインパクト先行型のネーミングである。「チンゲン菜ドーン」という名称は確かに目を引くが、商品内容を十分に伝えていない。「チンゲン菜とご飯のみの丼」であると誤認される可能性が高く、実際には「チンゲン菜と豚肉の丼」であるにも関わらず、忙しい買い物客にとっては商品名から中身を即座に想像できないだろう。パッケージ上に描かれたチンゲン菜のイラストもイメージに拍車をかける。
たとえば「チンゲン菜と豚肉のスタミナ丼」のように、より具体的な名称であれば、購買意欲を刺激できたと考えられる
◆2.ターゲット層とのミスマッチ
いなげやの主要な顧客層は、家庭向け商品を求める主婦層、手軽でコスパ重視の弁当を探すサラリーマン層、そして高齢者層であると推測される。しかし「チンゲン菜ドーン」という名称は、若者向けのユーモアや勢いに寄った印象を与え、メインターゲット層とのギャップが生じている。
ネーミングによる問題点の項目と被る内容ではあるが、チンゲン菜を全面に押し出すのであれば「栄養バランスの良さ」を訴求できる名前にするべきであった。
◆3.価格と価値
定価は499円(税抜き)であった。半額であっても、元値を考慮すると、消費者が期待する満足感やお得感がやや不足していた可能性がある。チンゲン菜がメインに見える構成では「この価格なら他の弁当の方が豪華だ」と感じる人が多いはずだ。特にいなげやの同価格帯499円には最強のライバル「だしの旨み!熟成三元豚のロースカツ重」が存在しており、これと同価格で勝負するのにチンゲン菜は主菜として力不足だろう。
また、健菜ベースのヘルシー路線に舵を切るにしても同価格に「1日の半分の野菜が摂れる中華丼」という品があることも忘れてはならない。ライバルは多いのだ。
価格を抑えるか、もしくは具材のボリュームや種類を増やして「この内容でこの値段ならお得だ」と思わせる演出が必要であった。
◆まとめ:改善に向けて
「チンゲン菜ドーン」が売れ残る要因は、ネーミングの分かりづらさ、パッケージの視覚的訴求力の低さ、ターゲット層との乖離、そして価格と価値のバランスにあると総合的に判断できる。これらを踏まえ、以下の点を改善案として提案したい。
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ネーミングの見直し:「チンゲン菜と豚肉のスタミナ丼」など、具体性のある名称への変更
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パッケージデザインの工夫:豚肉の存在感を前面に出し、彩り豊かな構成に変更
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ターゲット訴求の明確化:主婦やサラリーマン層に響くキャッチコピーの導入
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価格と内容の再検討:価格を見直すか、ボリューム・具材内容の強化によるコスパの向上
いなげやの新商品「チンゲン菜ドーン」は、ネーミングセンス自体はユニークであるが、消費者のニーズを捉えきれていない。次回の新商品開発においては、今回の課題を教訓として、より多くの人々の心を掴む商品が誕生することを期待したい。
とはいったものの、499円帯に「だしの旨み!熟成三元豚のロースカツ重」が存在している事が他の全てのいなげや弁当において気の毒な事実であることは変わらない。いちゲーマーとしてこれを(ゲーム)ドラクエ6に例えると「既にパーティーにハッサンがいる」という事である。だが僕は、そんなハッサンをも超える弁当の開発を、いなげや様には期待している。
今回の記事はこのあたりで。