クリスマス・オニオンサラダ

街がきらきらと輝くクリスマスシーズン。それは僕が住まう地味な住宅街でも例外は無い。イルミネーションが街を包み込み、人々がプレゼントや美味しいごちそうに心を弾ませる中、僕はスーパーの冷蔵コーナーに佇んでいた。そこで一つの商品を見つける。

「アボカドポテトで食べるローストビーフサラダ」

 


きっと前日のイブには買われる事を想定して作られたのだろう50%オフのシールが貼られたそれの、パッケージ越しに見えるのは、華やかなローストビーフとポテトサラダ。その下には、これでもかと敷き詰められた薄切りタマネギの層。

商品名からしても、主役はローストビーフとポテトサラダ。タマネギには最初から期待されていないような気がする。恐らくみんな、ローストビーフとポテトだけ食べて、詰め込まれたタマネギには手を付けずに捨ててしまうのだろう。

華やかな主人公達の陰で、誰にも顧みられず、ひっそりと役目を終えるオニオンサラダ。その姿に、自分の姿が重なって見えた。クリスマスという特別な夜に、華やかさから遠く離れたところで静かに過ごす自分。それはこのオニオンサラダと同じなんじゃないだろうか。

そんなセンチなことを考えつつ、ローストビーフサラダを手に取りレジに向かう。悲しんだところでタマネギは救われないし腹も膨れない。どうせなら彼を自分の胃袋の中で主役にしてやろうか。

そうして僕はクリスマスの日をチキンとローストビーフサラダで堪能した……もちろん脇役のタマネギ部分も残さず、だ。シャキシャキとした歯ごたえと生タマネギ特有の辛味を味わう。刺し身のツマもだけれど、自分的にはこういう脇役野菜を残して捨てるのが勿体ないと感じてしまうのだ。

厚生労働省では一人が健康的な生活を維持するのに目安として野菜の摂取量350gを掲げている。もちろん、野菜の質にもよるだろうが、こういう脇役達を残さずに食べる事でこの目標量にはグッと近づく。

そんな、いちいち厚労省推奨の野菜摂取量なんかを考えてしまっている僕のクリスマスは人と比べて華やかではなかったかもしれない。けれどローストビーフもポテトも、そしてオニオンサラダも、みんな平等に主役として楽しんだ夜だった。

さて、そろそろお気に入りのゲームの生放送の時間であるから筆を置く。
今日はクリスマスの夜に出会ったローストビーフ……オニオンサラダ。に抱いた奇妙で切ない感情を綴ってみた。
嬉しさや楽しさだけではなく、たまにはこういった感情にもスポットを当てながら生きていくのも、悪くないはずだ。