『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』
ついにこのゲームの進捗が、最終皇帝の代となり後はクリアするだけとなってしまった。本来ならクリアしてから書こうかなと思ったんですが、想いが溢れて止まらず、更にこのゲームを終わらせたくない一心で宝箱回収などに精を出し意図して遅延プレイをしている有り様なので、一旦現段階でこのゲームについて原作オタクの感想を書いていきます。
令和に迎合した軟派なサガでは決してない
戦闘バランスの改修(というよりほぼ一新と言っていい)や、各種ガイドが充実し、大変遊びやすくなりました。ガイド機能はオプションでオフにも出来るので、スーファミ版さながらの手探りのロマサガ2として遊ぶ事も可能です。
そして本作は新世代の若者達に合わせたフニャフニャしたロマサガ2では決してないという事をハッキリと言っておきます。
プレイヤーの決断一つで、仲間にならないクラスは出てくるわ、滅亡する国は存在するわ、溶岩に飲み込まれて消滅する町はあるわ。そういった部分には手が加えられていません。実際に僕もプレイの手順のせいで陣形が幾つか手に入らなくなりました。
そんな三者三様、いや千者千様とでも言うべき、プレイヤーの数だけ存在するプレイヤーだけの帝国史を築いていく部分は原作そのままなのです。
いくらでも後付けのやり直しが効くようなシステムへと変わらなかったのは原作プレイヤーとして嬉しいところです。
懐かしいと新しいが融合した新生ロマサガ2
基本的にほぼ全ての場所において原作通りの進行が可能です。スーファミ版とは言わずとも、リマスター版で比較的記憶が新しいプレイヤーならば序盤のうちから後半までのイベント進行の展望を思い描く事が容易でしょう。
一方で、細部まで異常なこだわりを見せる3Dマップとなった本作の世界と、原作でパワー不足だった武器や術法などに大幅な調整が加えられ、一新された戦闘バランスが織りなす全く新しいロマサガ2体験は、原作プレイヤーに新鮮な驚きを与えてくれます。
総評:ロマサガ2オタクが創った、ロマサガ2オタクを満足させるロマサガ2
本作はその随所にロマサガ2愛が詰まっていると感じられました。
全てのクラスに用意された「ふー」ボイス。新録の皇帝継承セリフ。思わずにやりとしてしまう実績。町はその地域の風土によってあちこちに拘りが見受けられ、七英雄戦に突入する際には各々原作のポーズでカットインが入る……。
個人的にはアーケードゲーム『ロードオブヴァーミリオン(lov)』でロマサガ2がコラボした際に書き下ろされた設定とセリフを、七英雄の過去の掘り下げシーンで使ってくれたのはロマサガ2プレイヤーでもありlovプレイヤーでもある自分にとっては思わず泣けてしまうほどの嬉しさがありました。
これは紛れもなく、ロマサガ2を愛しているオタクが創ったゲームです。
ご新規さんも、歴々の皇帝を謀殺してきたハードな原作プレイヤーも、どなたにも『令和最高のロマンシングサガ2体験』を提供してくれる一本だと確信しています。
ぜひこの機会に、31年間という長い間、伝説的に語られ続けてきたロマンシングサガ2の世界に本作で触れてみてください。全てのプレイヤーのバレンヌ史が奇妙で面白く輝かしいものでありますように。