元祖ダンジョンRPG、WizardryシリーズがSteamに堂々登場していた事を知っていたものの『なんか今やるタイミングというか気分じゃない』という理由でなんとなーく遠ざけていたところ、急にダンジョンに潜りたい衝動に駆られてその想いを燃やしながら購入ボタンを淀みなく押したのが先週。
このWizardry外伝~五つの試練~、シリーズ直系のストイックさを完全に継承したタイトルで相当に難易度が高いです。
最初のフロアでハイウェイマン相手に前衛2人の首が飛ばされ、次のエリアではゾンビにベタベタ触られ麻痺祭りでパーティは半壊し、その次ともなると宝箱タイムですら容赦ない危険トラップの数々に油断できない時間へと変わります。事実、爆弾の解除に失敗して2人の絶命を体験しました。威力がおかしくない?
アレンジが加わったシリーズとは違い、ガチ直系の味わいで勝負している本作のため、全員のHPを回復するにも僧侶が馬小屋に泊ってMPを補充しては2~16ポイントだけHPが回復するような呪文をひたすら唱え続けてパーティーを戻すといった"漢"の行為を要求されます。
ああ、まさにWizardryが欲しい人向けのWizardryなんですよ、この五つの試練。ゲームを紹介する時に言葉を尽くす努力を怠っていない僕でも、Wizardryを求めていない人に向けてこのゲームを勧める言葉がひらめきません。それほどまでにこのゲームはシリーズ特有の血筋をそのまま継承したタイトルだと断言できます。
派手さはなく、ひたすら地味で、少しのミスでパーティーは壊滅し、ミスなどなくてもサイコロの目次第で理不尽なまでの暴力に襲われる。危機を乗り越えた先に高揚感を求めるプレイヤーには向いていない。危機を乗り越えた先の安堵感に胸を撫でおろす瞬間が愛おしいプレイヤーにこそ向いている。これはそんなゲームなのです。
▲中盤のザコに先制を許しただけでパーティー全員のHPが半分になっているのが分かりますね。これは完全に"無事"といえる状況です。他の危機的状況に比べたらダメージを喰らったうちに入らないくらいです。
ですが、全てがクラシックのままかといえば違う。
快適性、利便性が大幅に向上しているのです。
未鑑定アイテムは鑑定役にまとめて集められるコマンドがあり、店での買い物は不足金額を自動で他キャラから集めてくれるし、戦闘は非常に高速、キーボードでもコントローラーでも快速に遊べるUI作り。
じっとりとしたストレスと不安が襲い来るWizardryというゲームにおいて、UIだけはストレスなく遊んでほしい、という開発側の気持ちがゲーム全体に表れています。
だとすれば、これはWizardryを求めるユーザー以外にも勧めたい、勧めてみたい。
今の時代のゲームプレイヤーの平均的な感覚でいえば、コントローラーを投げPCモニタにストレートパンチをしたくなるような"Wizardryの洗礼"が満載のゲームです。
いや実際には、モニタ叩き割るような感じでキレることってあんまりないんですよWizでは。その代わりに「は?」とか「え?」という短い言葉と共に口を開けて放心すると思います。僕はそこそこWizシリーズに慣れていると勝手に思い込んでるのですが、それでも一時間に一回くらい放心してます。
そんな暴力的な洗礼があることは一切隠しません、五つの試練は難しいゲームです。Wizに特有のなんで?と思うような不便なところもあります。ですが、この機会にWizardryというコンピューターRPGの血脈の言葉通りの草分け的存在である偉大なタイトルに触ってみたいという方は、ガチの本家クラシックWizの味わいをたっぷりと備えた本作をぜひ、とお勧めできます。
今のところシナリオが5本入っているので、実質5本のWizを遊べるようなものでとてもお得です。
シナリオという表現ですがシステムの根幹から異なるものも存在するので実質的に違うWizardryを遊べるようなものです。
ユーザーが投稿したシナリオも遊べるので、この1本で無限にWizが遊べることになります。
無敵です。
これ買うと一生Wizに困らないと思います。
そんな感じです。