休日に近所の駅までメシを食いに行った帰り、たまにはKindleで買うのではなく紙の本を手に取って読書するのも良いなと思って最寄りの図書館へ。
メディアのコーナーに「ネットでニュースを読むとバカになる」「ネット・バカ」「インターネットやめて本を読めバカ(みたいな名前)」的な、いわゆる"ネットに浸かってるヤツはこんなに馬鹿"系の本と、"Webから離れて紙の本を読んでくれ"と訴求する系の本の群れがありまして。
挑戦的なタイトルはともかく、暫くぶりに紙媒体を手に取ろうと(今は漫画に限らず全ての本をKindleで買っている)考えていた矢先のこと。こういうのを食わず嫌いで読まないのも勿体ないと思い、手当たり次第に読書開始。
でまぁ、上記のうち"Webから離れて紙の本を読め"系に属する本のうちある一冊を読んで衝撃を受けたんですよね。面倒なのでタイトルは伏せますが、まあそういったタイトルの本です。
冒頭からインターネットに書かれている個人の文章などどこぞの馬の骨が書いたものでちゃんと編集者の校正が入っていない時点でカスなので時間の無駄でゴミ(意訳。ですが割と原文)。という前書きにクラクラしまして。
間違いなく前者は合ってると思います。馬の骨、つまり素性も分からん連中が書いてる文章の方が圧倒的に多いですからね。
けどよ後者は違うだろ。
少なくとも本を一冊出せるような、作家社会に身を置く人間が、編集者の校正が入っていない文章に価値が無いと断じてしまう事が、衝撃的でならなかった。
僕は個人ブログやテキストサイトに転がっているそれらは「生身で剥き出しの人間からこぼれ落ちた魂の本質」であると思っている。紙の本が人の一生を左右する事は多いだろう。だが、ネット上の文章にも人を動かす力があるのだ。
自分は「斬鉄剣」が無ければブログを始めなかったし、同時期に群雄割拠していた様々なテキストサイトを読まなければ今頃キーボードに向かい合ってなかっただろう。それらから得た原動力は、間違いなく僕の人生を変えた。紙の本ではないが企業が外に出す文章の校正やリライトの仕事に数年間携わっていた事もある。文章に携わってメシの糧を得るという経験は、あの頃に少年だった自分がネット上に転がる幾千もの文字列を追いかけていったからこそ出来たのだ。ネットに上がってる文章は編集されてない?されとんのもあるわ。そもそもワイが編集者じゃったわボケ。
確かに本の文章とネットの文章では世に出るまでに人の手と労力が膨大にかかる、という違いはあります。手に取れる形にするまでに多くの人が関係しているわけですから、その点で内容にある程度の信頼性があるとする見方もあるでしょう。ですが、書かれている内容をどう受け止めてどう己に活かすか。どれだけ心が揺さぶられどれだけ己に知恵をもたらしてくれるか。そこに媒体など関係無いと思います。
と、生モノ食うのは猿人のやる事なので文明人は調理された食材をたべましょうね。というメッセージに対してその日は反論にしか出てこなかった一日でしたとさ。
つーか調理された食材だって料理人が下手だったら食中毒で腹壊すし、そもそも食材の時点で毒かもしれんのよ?
紙の本に書かれている事が絶対!ってなってしまうとそれはもう情報リテラシーとの向き合い方の話になってしまい、また別の話になるんだけど、この作者さん方はどう思ってるんだろうね。