へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

一日外出録ハンチョウから考える、人生の形、しあわせの形。

一日外出録ハンチョウ。

この作品はオリジナルのギャンブルに生死を賭けて挑む人気漫画シリーズ・賭博黙示録カイジのスピンオフ作品で、作中で主人公であるカイジ達の敵として立ちはだかった班長が主役の漫画です。

班長は帝愛グループという企業が秘密裏に抱えている地下のタコ部屋で労働するおじさんで、劣悪な労働環境で自由に外にも出れず、何年も毎日衛生環境の悪い地下で過ごしています。

この帝愛のタコ部屋では地下労働者のガス抜き施策として、働いて貯めた地下専用通貨を使う事で、一日だけ地上に出て自由に過ごす権利を得る事が出来ます。

この漫画はその一日自由権を使った班長が、その日その日を思いっきり楽しむところをただひたすら描いた漫画です

一日遊べばまた人権が剥奪された地下室へ送られてしまう独身のおじさんが、全身全霊で24時間の自由を満喫します。時には大衆居酒屋でささやかな料理を食べ、時にはタコ部屋労働の満期を完了して外で暮らす友人の家でごろごろと過ごし、時には海水浴で年甲斐もなくはしゃぐ…これが班長の人生の全てとして描かれています。


僕は世の中や両親から、伴侶を得て家庭とマイホームと車を持ち、定年まで会社に勤め、余暇を家族と過ごす人生が"正解"でそれ以外は不正解だという事を教わってきました。その基準と照らし合わせてみると班長はちっとも"正解の人生"を送ってはいませんし、無事帝愛のタコ部屋を満期で過ごせたとしても"正解"の人生まで軌道修正するのは困難なように思えます。

漫画の中の班長は僕が教わった正解の人生を送ってはいないのに、とても楽しそうに見えます。自由に外にも出れず、劣悪な地下で過ごす日々を送っているにも関わらずです。


これは単なるギャグ漫画として描かれているのだと思います。ですが、生きる上での正解、不正解、そして幸せの形とはなんなのかについて思いを馳せる上で、何か学べる事がある漫画に思えてならないのです。