へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

コルカス

前回、漫画で一番好きなキャラとして矢吹ジョーを挙げました。

そんな彼と同じくらいか、それ以上に”激アツ”な感情を抱いている漫画キャラクターが存在するので今日はそのキャラについて思うところの全てを全弾発射していきたいと思います。


そのキャラの名前は「コルカス」 
長編ダークファンタジー漫画ベルセルクの最初の方に出てきて中盤に差し掛かる前に退場するキャラクターです。

ベルセルクをご存知の読者からは「いやコルカスに熱を上げるとかあるか?????」って言われると思います。でも僕はこいつがクッッッソ好きなんですよね。TRPGの長編キャンペーンでコルカスという苗字を付けた元盗賊という設定のキャラクターを作って最後まで遊んだくらい。

以下とりあえず漫画を読んだ事ある人前提の話をしようと思うんですが一応軽くキャラについて説明。

コルカスはカリスマ傭兵団長のグリフィスに従う傭兵団の一員です。元々は盗賊達の頭目をしており、グリフィスに負けて鷹の団に下ったという経歴を持っています。
ブサイクで皮肉屋、すぐ調子に乗り態度や行動の節々に小物感が溢れるという、明らかに読者から好かれない造形を与えられたキャラクターです。
鷹の団では古参であり、最終的には千人長という、副団長の直下にあり鷹の団でも数名しかいない役職まで昇進するのですが、特に武芸に秀でている描写も無く、カッコイイ見せ場など殆どありません。盗賊のボスをやっていたくらいには腕が立ち、立ち回りも上手い男ではあるのでしょうが、ヒーローという言葉からは程遠い人物なのは間違いありません。


僕が何故こいつが好きなのか。 それは敵も味方も圧倒的なスケールで描かれる戦記シーンの中で、コルカスが泥臭い等身大の人間。凡人であるからなんです。
彼にはグリフィスのような智謀と人間的魅力も無ければ、戦闘力もライバル視しているガッツの足元にも及びません。 作中での目立った活躍のシーンもありませんが、鷹の団千人長という立場を全うするくらいには死と隣合わせの苛烈な戦場を何度も潜り抜けている。

そんな泥っぽいところに妙な魅力を感じますし、 極め付けはガッツに対して食いかかるシーンです。

平民には決して届かない貴族という身分の仲間入りを前に、その現実を捨てて理想を追い求めようとするガッツにコルカスは激昂。
この時にコルカスが心の底から絞り出した怒りはまさに現実主義者の代表のようなもので、凡人が奇跡的に掴んだ大きなモノをあっさりと捨て去る事への異常さについて感情を剥き出しにします。

グリフィスやガッツといった超人に対して、コルカスという凡人の対比。現実世界に生きる多くの人々が苦しみの多いリアルに自分なりの折り合いを付けて生きている中で、コルカスの言葉は胸に深く刺さります。

ガッツを論破しようとするコルカスのシーンはベルセルクのコアなファンには知られており、このシーンを以てコルカスは決して嫌な感じだけのキャラでは無かったと評価する向きもあるようです。


…ですが、例えこのシーンが無くても、僕はコルカスにただならぬ魅力を感じるんですよね。
コルカス、半生に想像の余地があるほどほどにミステリアスな奴なんですよ。僕はそこに惹かれてます。
前述の通り、目立った戦闘シーンは無いものの、困難な任務や、矢が頬を掠める戦場から何度も生還してきたタフさ。 描かれていない盗賊の頭目時代。 特に活躍が無いのに、なんだかんだいって後のガッツの回想に登場するくらいには、鷹の団の中核を担うメンバーであったこと。
明かされていない、描かれていない内容が多すぎる。 そして、それは彼が凡人だからこそ、この壮大なスケールのストーリーでは敢えて描かれ無かったのだろう、と思わされるところ。
僕は凡人が英雄達の中で泥臭くも立ち回り、なにかささやかなモノを掴み取るという構図が好きなんだと思います。 そしてその構図に100%ぴったり隙間無く挟まったキャラクターがコルカスなんじゃないかな……と。

長々と語ってしまいましたが、不細工で刺々しい言葉だらけの皮肉屋でお調子者の、決してヒーローでは無いし絶対ヒーローになれないコルカスというキャラクターに熱い感情を持っているという話でした。


三浦先生、ただでさえ多忙だとは思いますがコルカスの外伝を是非、お願いします!(もし鷹の団外伝があるとしても先にキャスカやリッケルトだよなあ…)