へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

雑多文章録424 「あしたのジョー」がジャニーズの山下智久主演で実写映画化へ

一時間しか寝ずに出かけて疲れて帰ってきて
たったいま気持ちよく寝れそう

って思ってニュースサイト巡回してたら掲題のバッドニュースだよ。

やばい、普段おとなしい俺がキレそう。


あしたのジョーって、俺にとって一番好きな漫画なんだよね。

発売当時の初版に近いボロッボロの単行本で全巻読んだんだ。

これ、1ドル=360円の時代の話なんだぜ?



ドヤ街の貧民の子供達がおでんを万引きして大人に殴られる(私はただおでんをくすねただけ、というセリフもある。「ただ盗んだだけ」この表現は現代では絶対に放送出来ない。)
今では放送出来ない単語が飛び交う(差別用語だが、別の単語で代用することが出来ないほどの抜群の表現になってる迫真の漫画世界)
パチンコのイカサマ、犯罪、少年院、陰湿なイジメ、暴力、ライバルの死亡、ローブローにサミングにヒジ打ちの反則試合、ライバルの廃人化。

それら一つでも欠けたら、あしたのジョーではないんだよ
そして、現代の道徳観ではあしたのジョーを再現することはできないんだよ。


ベネズエラの拳豪、カーロスがホセに廃人にされて
「へへ…ジョー…ジャブ、ジャブ…」って
虚ろな眼でボクシングの真似事をするシーン
あんなとこ再現できないだろ
そしてそれが無いジョーはジョーじゃない。

なぁ、もう少しでも原作に理解があるやつはいないのかよ。
理解があったら実写化なんて出来るわけないんだよ

こんな企画にGOサイン出すヤツは
一度過酷な減量でも体験してジョーの世界を少しでも感じてみろや

三日後にはうどん屋台にいって「おっちゃん、いつものかけ2杯!」ってなる。


仮に再現は出来ても
今の若い子に共感させられるかどうかかなり難しいところだってたくさんだ。

最近の漫画だのアニメだのをバカにするつもりはないが
最近の漫画の主人公や、脇役は「鋼の意志に強い肉体、決して折れない心」なんて
完璧超人ばっかりな気がするんだよね。

修行した!辛かった!だが努力で乗り越えた!強くなった!
っていうなんか単純で、違う漫画なのに同じ漫画読んでるような流れも多い。

あしたのジョーってのは、人間の弱さっつうのも徹底的に描いてるのよ。
そしてちっとも綺麗な漫画じゃないんだ。

心だけではなく、肉体的な面から既に弱者であった青山君。

減量に耐えられずに、夜中に抜け出して食事をしていた心の弱さを見せた西。
その後地獄の減量に耐え、プロテストに合格し、華々しい初陣も、TKO負けだった。

ジョーの宿命のライバル、男の中の男とイメージがあるだろうあの力石でさえ
減量に気が狂い、ついには部屋を抜け出し水を求めてさまよった。


誰もかれもが、現代のマンガキャラでは「キャラのイメージが悪くなるから」
なんて理由で見せられないだろう人間の一等弱い部分をリアルに描かれている。

力石を失って、心が壊されたジョーなんかは、屋台でケンカになった
ただのオッサンにすら殴り合いで負けたことがあるんだぜ。


弱さのリアル、そして生半可な努力では超えられない先の強さ。
その二つがあいまって、最高に「人間臭い」魅力的な人物が描かれている…

スポーツマンガの最高峰は伊達じゃない。

それを、ただ一つでも再現し表現し、共感させられたら
それだけで成功したといえるほど、困難な題材なんだよ、あしたのジョーってのは。

やるな、とは言わない。
だけど、演るなら覚悟してやってくれ、と切実に思う。