へたれゲーム貴族

未知の世界への鍵(ゲーム)を手に。

雑多文章録344 雑想・マナー。

雑草という名の草は無い。
だが、日々ふと浮かぶとりとめの無いこの雑感に名など充てられようもなく
ゆえに雑想。

「公共常識」


深夜の満員バス。
けたたましい音で鳴り響く乗客の携帯電話のコール音。

乗客は、口を手を押さえつつも、防音効果が得られないほどの大声で
電話の向こうの相手、内容から察するに家族であろう、と話はじめた。

「ねえ 今から 私帰るんだけどお」
「遅くなったら テレビみちゃいけないんですかあ」
「ベストハウスに出演してたあ ○○さんが見たかったんですけどお」
「今から帰るからあ テレビ…」

その乗客は 家に帰って相手と話せば良いような
緊急性の無い話題を延々と、延々と大声で話し続けていた。

さて、公共の交通機関内部で、時間も深夜。それに満員であるこのバス。

無論ベストマナーは携帯電話の電源を切っておくことであるが
わざわざ交通機関を利用する度に電源を入れ切れするのは大変であろうから
大抵の人間が、マナーモードに設定しておくか、もしくは
電話に出ても、相手には現在公共の交通機関で移動中であるため
後で電話をかけなおす旨を伝え、速やかに通話を終えるという事で妥協しているだろう。

マナー的には後者がデファクトスタンダード(誤用ではあるが)。
そう、共通了解というような風潮である。

その 共通了解 のマナーラインを全く守れない人間とはどのような人間であろう。

「そもそも、おおよそマナーの存在は知っているが
 ポリシー上、守るつもりが 無い」 のか

それとも「マナーというものを 理解できない」のか。

上記の乗客は 後者であるように感じた。

前者「マナーがあるのは知っているけど、気にとめず自分本位で生活をする人間」
これは現在の若者に特に多いかと思われる。

しかし後者「マナーという概念をそもそも理解できていないような人間」
これは若者には殆どいないように思われ、どちらかといえば
いい年齢である大人に非常に多く見受けられるように感じる。

言い変えれば「マナーも知らないし、自分本位で生活する」という人間だ。


マナーがあるのは知っているけど、いちいちそんなのを守りたくない!
そういう若者はまだ、変わりようがある。
マナーについて分かっているのだから、何かキッカケがあれば
他人へ迷惑をかけるという行為を慎むようになると思う。


しかし、度々ここで挙げてきた「マナーの概念を理解できない」ような人間。

そういった人間は、とても厄介で、危険で。

分からないんだから 理解しようがないんだから キッカケで変われない。

そういった人間が それもいい年齢になってしまっている人間が、本当に多いのだ。


社会生活を営む上で、公共の場においての佇まいというのは
人間性が最もでる部分であり、守らなければ「人格」を疑われるのだ。

彼らは何故マナーというものを、公共での佇まいを、理解出来ないのか。

マナーの悪い若者は、大抵がマナーが悪いという
「自覚」がありつつ行為に及んでいるが
筆者が見てきた後者の人間には「自覚」そのものが無いようにしか見えない。


海外で日本人が評価される点に 佇まい・品位 が挙げられる。
この、世界に誇るべき我々の慎ましいマナー。

守るべきであり、継承していくべきである日本人の文化。
それが今後瓦解していくような気がしてならない。

何よりその引き金が「いい年齢をした人間」であることが一番恐ろしく感じるのだ。

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話の冒頭に挙げた 迷惑な乗客であるが
車内からあちこちで うるさい客がいる との小声が出始めていた
近しい席に座っていた筆者は、ここが公共の交通機関であり
大きな声での通話は迷惑になること、その内容の話であれば
家に帰ってから家人とすれば済む話であること、と諭して見たのだが
残念な事に 聞く耳を持って頂けなかった。

結局、筆者は我慢の限界が低く、多少乱暴な言葉をその乗客に浴びせてしまった。

その乗客は、それでやっと 驚いたような顔をして
何故、自分が悪いのか、と疑問を抱くような顔をして、そして通話を止めた。

…筆者は沸点が低くて困る。
結果的に、車内に静かな時間が訪れたのだが
はて、そこまでして乗客を黙らせた筆者と
ひたすらに迷惑であった乗客。

どちらの品位が低いかと言われれば、どちらも。ではないだろうか。

世の中は、難しくて困る。